プロローグ
君は憶えているだろうか。
気が遠くなるほどの膨大な記憶の最奥に横たわる、圧倒的な存在感。 生と死を際限なく繰り返し、生きることの意味も死ぬことの意味も、私はもはやわからなくなっているのかもしれない。ただあまりにも底の見えないその深淵を忘れることは叶わず、次の器へと受け継がれていく。この呪縛から魂が解き放たれることが決してないことを自分は知っている。
ただ、ひとつの魂に縛られている。
逃れる術を知らないのか、はなから逃れる気がないのか。もはや自分でもわからない。生きては死に生きては死にゆく間、君はただそこに在り、私の魂の源も、あのはじめから何も変わってはいない。
これが、君と私が望んだことだったのかな。もう思い出すことができないよ。ただ私が理解していることといえば、自分の存在意義が帰する場所だけ。
15歳の僕は、自分の価値を正直計りかねている。だけども僕の存在の源だけは確かに理解しているんだ。何千年もの間輪廻を繰り返しても、現世で他者と触れ合っても、それだけは変わることはない。今までもそうだったし、これからもきっとそうだろう。
僕は忘れないよ、僕の全てが還る場所。 |